臨床心理士・公認心理師

心理療法・カウンセリング室 [セイル]

​所在地:福井県坂井市春江町藤鷲塚40-29

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なんとかしたい
摂食障害
​過食と拒食

大きく二つのタイプがあります。

​①神経性食欲不振症(AN)

著しい低体重(BMI17.5以下)、不食またはむちゃ食いと排出行為、過活動、ゆがんだ身体イメージ、無月経、低い自己評価、肥満恐怖など

 

②神経性過食症(BN)

コントロールできないむちゃ食い、排出行為、低い自己評価(ANよりは軽度)、肥満恐怖など

​一般的に、ANは低体重なのに活動的で病識が薄い、BNは正常体重だけど大食や嘔吐がある、という特徴があります。

発症は不食か大食かどちらかが主になりますが、その経過は人それぞれで、ANとBNを転じて進行するケースが多く、慢性化しやすい病気です。長期化するとそこから抜け出すことにも困難になるため、回復に向けて早めに対処することが大切です。

回復可能な病気ですから、長期化している方であっても、あきらめないでください。

摂食障害からの回復とは

摂食障害は、遺伝的な要因や、養育環境、生活環境、本人の資質などいろいろな要因が絡んでいます。

長期化しやすい病気です。

特効薬もなければ、こうすれば必ず回復するという方法もありません。

回復とひと言で言っても、さまざまな回復があると考えます。

 

たとえば、

体重がある程度戻って体力もつき、アルバイトができるようになった

週に1回程度は症状が出るけれど、その他の生活は安定してきた

家族といっしょに食卓を囲んで食事がとれるようになった

ふつうの一食分を食べて満腹感を感じることができるようになった

頭の中で食べ物ばかり考えていたのがなくなって、他のことを考えることができるようになった

多少太っても気にならないし、食べ物のカロリーも気にせず好きなものを自由に食べれるようになった…等

普通の人からするとこれらは「当たり前なこと」かもしれませんが、摂食障害の症状真っただ中にいた人にとっては、これらは大きな変化であり、その人なりの回復です。本人の内面での変化と、外から見た本人の変化、どちらが先かは断定できませんが、家族などの身近な方はあたたかく見守る姿勢が大きな支えになります。

回復の過程では、良くなったり、悪くなったりを繰り返して進んでいきます。悪くなったからと言って、絶望的にならず、長い目で根気よく取り組むことが大切です。

長年摂食障害の生活をおくっていると、過食や嘔吐がない生活、つまり回復して健全な食生活をしている自分というものを想像すらできなくなっているかもしれません。

他人のためではなく、自分自身のための回復です。

回復後の自分を思い描いて、あきらめずに回復への努力を続けていきましょう。

摂食障害治療の基本

摂食障害は回復できる病気です。

➀身体面、②心理面、③社会面

回復にはこれら3つの側面からのアプローチがあります。

➀身体面のアプローチ

身体面のアプローチで軸になるのが、規則正しい食事の回復です。

満腹感や空腹感が分からない、ふつうの一食分が分からない、食べる時間やリズムが乱れている、など症状によって失われた食事リズムを取り戻すことに取り組んでいきます。はじめはとても窮屈で苦痛に感じるものですが、少しずつ本来の「食と体」の関係が修復されていきます。

また食事面だけでなく、睡眠リズムや日中の活動なども大切です。

昼夜逆転した生活や、休日の寝溜めなどは身体面に負担をかけ、心理面にも影響してきます。また、痩せたい太りたくないなどの思いから、体が悲鳴をあげていても無視して過剰に運動をしたりする方もいます。運動が悪いわけではありませんが、その時の自分に適した運動や活動をしていくことが大切です。病気に駆り立てられた運動ではなく、健康増進のための運動ができるように見直していきます。

②心理面のアプローチ

他の心の病気にも共通することとして、摂食障害にも「心理的柔軟性の欠如」がみられます。

具体的には性格傾向にあげた完璧主義、頑固などですが、それらがますます自分を苦しめ、治療においても顔を出してきます。

心理面でのアプローチでは、これらの性格傾向に柔軟性が出てくるようにアプローチしていきます。

自分にどのような考え方の癖があるのか、感情はどうか、どのようなパターンがあるか、自分を知ることから取り組みます。

また、摂食障害に対して「治したい自分」と「治したくない自分」という葛藤する二つの気持ちがあるものです。

その二つの相反する気持ちについてもじっくり向き合っていきます。

③社会面のアプローチ

摂食障害になる人は、対人関係が不安定な方が多いです。例えば自己主張が苦手、自分の意見や思いを人に言えない、断れない、頼めないなど。

その場では上手に適応しているように見えて、裏を返せば無理をしています。

他者との関係のなかで上手に自分を表現できるようになることが大切です。どのように相手に伝えるのか、他者との距離の取り方、自分の守り方などを学んでいくことで、無理のない社会適応能力をつけていきます。

また症状がひどい場合は、学校や仕事など社会生活も思うように送れなくなったり、引きこもりがちな生活を送っている方もいます。

​少しずつ社会とのつながりを回復していくことも大切です。