臨床心理士・公認心理師

心理療法・カウンセリング室 [セイル]

​所在地:福井県坂井市春江町藤鷲塚40-29

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ACT
(アクセプタンス・コミットメントセラピー)
ACTとは?

​​ACT:アクセプタンス・コミットメントセラピー

ACTは、新次元の認知行動療法で、科学的な新しい心理療法です。

まだ日本ではあまり広くは知られておらず、初めて聞いたという方も多いと思います。

ACTは、さまざまな心の症状(うつ、不安症、強迫性障害、対人恐怖症、境界性パーソナリティ障害など)、職場でのストレス、慢性的な痛み、がん患者の心理的適応、依存症など、広い範囲の心の問題に効果があることが認められています。

心を悩ませる問題、苦悩、ネガティブな感情。それらはできれば味わいたくないものですね。

これまでの他の心理療法では、これら心を悩ませるものに対して、どうしたらコントロールできるか、どう対処すべきか、どうしたら打ち勝つことができるか、という部分に焦点を当てています。つまり、苦悩の除去、管理、対処を目的としています。

しかしACTはこれら他の心理療法とは異なる視点からアプローチしていきます。

ACTにおいては

『“問題・苦悩・ネガティブな感情”は生きている以上あって当たり前。

それらをコントロールしたり、変化・除去しようとするのではなく、手放し、受け容れる姿勢をもつこと』
そして、

『苦悩/問題を抱えたままでも“自分が人生で本当に実現したいこと”を発見・強化し、行動していく姿勢をもつこと』

『この二つの姿勢を持つことで私たちは幸福になれる』

という考え方に基づいたアプローチをとります。

心理的な苦悩の底なし沼から抜け出すための「自分の心」との付き合い方を学んでいく心理療法、それがACTです。

​心の柔軟性を養う

つらい心。にっちもさっちもいかない。もうどうしていいのか分からず、ネガティブの悪循環…​

このような時の心はとても『固くなって』います。自分の考えや思いに執着していたり、分かっているのに同じ行動を繰り返してしまったりします。本来の心の働きが鈍くなっている状態です。

ACTでは、『心の柔軟性の回復」を目的としています。

ACTの6つのポイント

​以下、心の柔軟性を向上させるためのACTの大切な6つのポイントをご紹介します。

​①思考に振り回されないこと

②受け容れる

③過去・未来に囚われない

​「今」を大切にする

⑥行動していく

⑤人生の方向性を明確化する

④冷静に自分を観察する

ポイント①《思考に振り回されない・脱フュージョン》

自分の思考に巻き込まれていませんか?思考に振り回されると、行動にも影響してきます。

ACTでは、これら思考(ほかにも想像や記憶)から「一歩下がり」自分を切り離す、距離を置くようにしていきます。これを「脱フュージョン」と言います。自分の思考に囚われて振り回されるのではなく、心に勝手に浮かんでは消えていくものとして自由にさせておきます。その様子を一歩下がって見つめてみます。厄介な思考と距離を置くことで、がんじがらめになっていた心にゆとりのスペースが出てくるのです。​

ポイント②《受け容れる・アクセプタンス》

嫌な思考や感情、体の感覚など。できれば味わいたくない、避けたいものです。これが自然な傾向かもしれません。

​ACTでは、このような心理的体験を避けたい・逃げたい自分から取り除きたい(体験の回避)ことをせずに、受け容れます。闘おうとしたり、反抗したり、逃げだしたり、圧倒されたりせずに、良いも悪いも、好きも嫌いも、楽も苦も、すべてそこに置いておくのです。これを「アクセプタンス=受容」と言います。

ポイント③《過去や未来に囚われない・「今・ここ」と接触する》

私たちの心は、過去や未来にさまよいがちです。嫌だった出来事を何度も頭の中でリピートしたり、どうしてこんなに辛いのかと反芻したり、まだ起きていない未来を心配したり。

ACTでは、「今・ここ」で自分に起きていることをしっかり意識する、ということに重点をおきます。見えているもの、聞こえている音、皮膚の感覚など5感を通して認識できるもの(自分の外の世界)と、考えや思い出し、想像など頭の中で起きていること(自分の内面)の両方にしっかり意識を向けます。心が「今・ここ」に在ると、心も安定してきます。

ポイント④《冷静に自分をとらえる・観察する自己》

上記のポイント①で自分の思考を一歩下がって見つめている…とありますが、その一歩下がってみているのが「観察する自己」というものです。自分が何を考えているのか、何をしているのか、など自分自身を俯瞰的に観ている自分のことです。意識しないと分かりづらいものですが、ACTに取り組んでいくと少しずつ観察する自己を認識できるようになっていきます。

​ポイント⑤《何を大切に生きていきたいか・価値の明確化》

​「価値」とは、自分の人生で何を大切にしたいか、どんな生き方をしたいか、という心の奥底にある願いです。人生を歩むうえでの方向性です。価値は人それぞれで、良い悪いなどはなく、正当化する必要もありません。誰かに強要されたものでもなく、自分の心の奥から自然とにじみ出てくるものです。ACTに取り組むに当たって、この「価値」を明確にしていきます。それが自分の行動の指針となるからです。

ポイント⑥《実際の日常生活で・行動する》

​人生での「価値」を明確にした次の段階は、実際に自分の手足を動かして行動していくことです。それが充実した有意義な人生につながっていきます。実際に行動をすると、うまくいかないこと、問題や悩みが出てきたりするものですが、上記の①~⑤で培った心のスキルを総動員して、価値の方向に進んでいきましょう。

ACTの特徴

ACTの特徴として以下の点があります。

  • 「やってみる」を大事にする心理療法

  • 過去や原因探しよりも「今、ここ」「これから」を大事にする心理療法

ACTは活発な心理療法です。話をする、聴くだけでなく、簡単な心の使い方のエクササイズを積極的に取り入れていきます。

​エクササイズもいろいろな種類があります。(例:マインドフルネス呼吸法)

お気に入りを見つけて、それを日常生活でもどんどん活かしていきましょう。

また、今のつらい症状や問題の原因を探ること、過去をさかのぼって原因を突き止めることには重点をおきません。

それよりも「今、ここ」で起きていることに焦点をあて、自分が目指していきたい方向に進んでいくことに重点をおいています。